デザインの未来ちゃん

デザイン周辺のあれこれ、雑記帳。

緊急事態宣言私日記 8日目 カミュの「ペスト」に手を出してしまった。

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カミュの「ペスト」が
隠れたベストセラーになっていると、
SNSでフォローしている知人達から漏れ聞いていた。

ネットで注文してもなかなか手に入らず、
書店に行ってもカミュのコーナーで、
有名な「異邦人」はあるのに「ペスト」だけがない
という自体が続いていた。

NHKアーカイブがすごいと思ったのが、
2年前の番組「100分で名著 カミュ ペスト」を
一挙再放送したことだ。

司会の伊集院光さん、解説の中条省平さんの
カミュへの愛情と敬愛に満ちた語りの素晴らしさもあって
ぐいぐい引き込まれた。

これは、やばい!



第二次大戦の只中、「異邦人」「シーシュポスの神話」等の作品で「不条理」の哲学を打ち出し戦後の思想界に巨大な影響を与え続けた作家アルベール・カミュ (1913- 1960)。彼が自らのレジスタンス活動で培った思想を通して、戦争や全体主義、大災害といった極限状況に、人間はどう向き合い、どう生きていくべきかを問うた代表作が「ペスト」である。
舞台は、突如ペストの猛威にさらされた北アフリカ港湾都市オラン市。猖獗を極めるペストの蔓延で、次々と罪なき人々が命を失っていく。その一方でオラン市は感染拡大阻止のため外界から完全に遮断。医師リウーは、友人のタルーらとともにこの極限状況に立ち向かっていくが、あらゆる試みは挫折しペストの災禍は拡大の一途をたどる。後手に回り続ける行政の対応、厳しい状況から目をそらし現実逃避を続ける人々、増え続ける死者……。圧倒的な絶望状況の中、それでも人間の尊厳をかけて連帯し、それぞれの決意をもって闘い続ける人々。いったい彼らを支えたものとは何だったのか?
「ペスト」はナチスドイツ占領下のヨーロッパで実際に起こった出来事の隠喩だといわれる。過酷な占領下で、横行した裏切りや密告、同胞同士の相互不信、刹那的な享楽への現実逃避、愛するものたちとの離別等々。カミュ自身がレジスタンス活動の中で目撃した赤裸々な人間模様がこの作品には反映している。それだけではない。「罪なき人々の死」「災害や病気などの避けがたい苦難」「この世にはびこる悪」……私たちの人生は「不条理」としかいいようのない出来事に満ち溢れている。「ペスト」は、私たちの人生そのものの隠喩でもあるのだ。
番組では、カミュが描き出そうした、人間にとって不可避な「不条理」に光を当て、「ペスト」という作品を通して、人間は「不条理」とどう向き合い、生きていけばよいのかを読み解いていく。

ようやく重版が出来上がったのか、
書店に平積みされていて手に入れることができた。

番組を見て物語の大筋や、
カミュの描きたかったことは理解していたつもりだったが、
小説世界に入っていくと
それはそれで読むのが辛くなってくる。